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幸せを、君に

これはサンぽんさんちに送ったSSです。イメージ画まで描いてくれちゃって! 巫女ですけど!!wwww

わたしは4年連続で大吉引いた事ありますよっ☆

 ガサガサと紙同士の擦れる音がする。
 どれにしようか、大いに悩んでいるようだ。
 こんな何でもない行為すら可愛らしいなのははまさに罪の結晶体ではなかろうか。
 もう、無条件で抱きしめてキスしてしまいたいくらいだ。
 残念ながら今の私はそこまで積極的にはなれないけれど。……なれたら、いいな。
「わ、――にゃはは」
 ようやく箱から引き抜いたおみくじの中身をそっと覗いて、照れたようにはにかむなのは。
 もう、何が書いてあったかが解ってしまうその笑顔が、いじらしくてたまらない。
「なのは。もしかして、大吉?」
「えへへ。ほら、フェイトちゃんの番だよ」
 あぁ、やっぱりなのははすごい。
 神様がいるとしたらきっと、この笑顔が見たくて大吉を引かせたに違いない。
 これで私が大吉を引けば…………なのははきっと……
『ふふ』
『あ! その様子だと、フェイトちゃんも大吉――っんむ? ……ちゅ……』
『ん……ふふ。早速大吉の効果が出た』
『もぉ! ずるいよ、フェイトちゃんのばかっ!』
『油断してたなのはがいけないんだよ』
『じゃあフェイトちゃんも油断して。次はわたしの番だもん!』
『しょうがないなぁ、なのはは』
「フェイトちゃん? どうしたの?」
「あ――! な、なんでもない」
 あぁ、いけない。まずは大吉を引かないことにはこの野望、もとい、願望は叶わない。
 ……さっさと引いてこの重圧から逃れようと思っているのに、指先が震えてなかなかその一枚が引き抜けずにいる。仕事でもここまで緊張したことはないかも。
 ようやく引き当てて、おそるおそるホッチキスの芯を外すと、なのはが待ちきれないとばかりに顔を寄せて覗き込んできた。
 あわててなのはと数歩、距離をとってすばやく中身を確認して――
「えと…………あぅ」
 思わず崩れ落ちそうになった。あぁ……やっぱり。
 私は、ダメだ。なのはとは違う。
 いけない、泣いてしまいそうだ。
「フェイトちゃん?」
「……だ、」
「だ?」
「大吉、だったよ」
 嘘は、かすりもせず不発に終わったようだ。
 笑いかけても、なのはは笑い返してくれなかった。腰に手を当てて、咎めるようにこちらをじっと覗き込んでくる。
「もぉ。本当は?」
「…………大、凶」
「大凶? ――あ、ほんとだ。初めて見た」
 それを聞いて苦笑も続けられないほど落ち込んだ。
 私はどこまで運がないのだろう、と。
「……ハァ」
「フェイトちゃん。そんなにがっかりしなくても……」
 大吉を引いたなのはをこんな悲しげな顔にさせてる。そんな自分がますます嫌になった。
「平気だよ。なのはがいるから」
 そう。これは本当のことだ。
 なのはさえいてくれればそれで十分。大凶がなんだ。
 だから、なのはには笑ってほしい。
 なのはが笑ってくれないと私も笑えないのだから。
「今落ち込んでたじゃない」
「そんなことないよ」
「あはは。ほんとかなぁ?」
 なのはが面白がってまじまじと観察してくる。
「本当だよ。信じてくれないの?」
 ついつい意地も張ってしまう。相手がなのはだから、なおのこと。
「フェイトちゃん、強がりさんなとこあるからなぁ」
「あぅ」
 とっさにそっぽを向いた。恥じらいが込み上げてきて。
 それはなのはのせいだ。好きな人を前にしてかっこつけたくない人なんているはずない。
 きっとそれが解っててからかってるんだ。
 なのはのばか。なのはのばか。なのはの、……ばか。
「えいっ!」
 と。……よそ見してたのが、裏目に出た。
 もう数えきれないくらいやられてしまってるのに……またもや、抱き込まれてしまった。
 あぁ、私はむしろそんな無邪気ななのはをいつでも抱きしめてあげたいのに、どうもなのはの方が一枚上手だ。
 ずるいよ、なのはは。不意打ちはやめようねって約束し合ったばかりなのに、ちっとも守ってくれない。
 ……もちろん、嫌じゃないけれど。複雑だ。
「なの、は」
「にゃは。元気出た?」
 なのはがとても照れくさそうににっこり笑った。
 それがあまりに間近で、ぽかんと口の開いた間抜けな表情を返す以外何もできなかった。
「わたしが大吉だったから、分けてあげる」
 ……反応できない私を眺めて、なのはの顔が不安げに眉を寄せる。
「やっぱり、ダメ?」
「なのは」
「ふぇ? ――ぁ」
 せめて抱き返すくらいは。
 残念だけどなのはに今の溢れてしまうくらいの気持ちを伝えるには、これくらいしか思い浮かばないから。
「ごめん、なのは。私、なのはの分まで幸せもらっちゃった……」
 見えないけどなのはが、優しく微笑んでくれたような気がした。それでまた顔が熱くなった。
「にゃはは。大丈夫だよ、フェイトちゃんがいてくれればわたし、いつでも幸せ満タンだもん」
 ……より、なのはを強く抱き寄せた。だってなのはを放して今の表情を見られるわけにはいかないもの。
 自分のことだからよく解る。今の私は大変見られてはいけない顔をしてる。……特になのはには、なのはにだけは絶対に見せたくない、締まりのない顔をしている。
 絶対放すもんか。
「じゃあ、ずっと一緒にいてくれる? なのは」
「えへへ。ずーっと前から何度も言ってるじゃない。また言わせる気?」
「私は心配性だから」
「もぉ。甘えんぼうだなぁ」
「な、なな、なのはが悪いんだよ。他の人にはこんなじゃないもん」
 なのはを前に子供じみた言い訳しかできない自分が、憎たらしい。
 きっと今の私の顔は誰もが心配するほど赤くなっているに違いない。
「あ〜、わたしのせいにして……今のは減点だよ」
「あぅ」
 これにはさすがに気落ちした。いつも甘えさせてくれるなのはだから、ごくたまに呟かれる「め!」が私には効果抜群だ。
「……そんなところも好きなんだけど」
「へ? ……なのは?」
「にゃはは、なんでもな〜い」
「も、もう一度。なのは、今の、もう一度言って」
 するりとなのはが私の腕をかいくぐって身を翻した。
 立ち尽くす私の耳元になのはが流れるような動きで擦り寄ってきて、
「焦らない、焦らない。だってわたしは」
 ずっとそばにいるんだから。
 過去に幾度も囁かれたその言葉は、不意打ちの口付けを我慢できないほど胸に響いた。

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